椎間板と腰痛
腰痛でMRIをとり、「椎間板ヘルニア」が見つかった。しかしその腰痛は、椎間板ヘルニアに起因するものなのでしょうか。ここでは、椎間板と腰痛の関係を解説します。
MRIでは腰痛の原因はわからない?
MRIによる画像診断の発達で、椎間板の変化を観察できる時代になりました。腰痛を訴える方がMRIを受け、椎間板ヘルニアや椎間板変性などの形態的異常を発見されることもあります。さて、ではこうした椎間板の形態異常が、果たしてこの方たちにとって真の腰痛の原因なのでしょうか。

腰痛持ちで椎間板に異常がある人がカイロプラクティックを受け、腰痛がなくなったあと、再びMRIを受けたら画像上の変化は全くなかったということでした。またMRIを他の理由で受け、たまたま腰椎椎間板の異常が見つかったが、腰痛持ちではないという人も多く存在します。
こうした画像上の形態異常と腰痛の関係を研究したものに、次のようなものがあります。
Spin 27,P125-134 2002
Elfering A. et al.
Risk factors for lumber disc degeneration ;A 5-year Prospective MRI study in Asymptomatic individuals.
この研究では、調査開始時では腰痛のない人に対し、その後の5年間で起こる椎間板の変化をMRIでチェックしました。また、その人達が腰痛を起した割合を調べました。結果は、椎間板が変化した人達のほうが、変化しなかった人達より腰痛を起こす割合が小さいことが分かりました。つまり、椎間板が異常を起こしてもそれが必ずしも腰痛の原因にはならないということです。
椎間板は腰痛と無関係なの?
腰痛を起こした人が、病院でMRIを撮ってもらったところ、椎間板に異常が見つかるのはよくあります。しかし、この研究結果を見ると、それが腰痛の原因であるかどうかは、それだけでは分かりません。同様に、脊椎すべり症や分離症、その他脊椎の奇形などが見つかることもときにはありますが、いずれもそれと腰痛を関連づけることは、レントゲンやMRIだけではできないと考えた方がよいでしょう。
では、腰痛と椎間板がなんにも関係がないのかというと、そうではありません。先の研究で腰痛が起きた人のうち、椎間板の変化に腰痛が伴う人もいるわけです。そうした中には、椎間板を原因とする腰痛も存在すると考えられます。それをどうやって見分けるのか、椎間板を原因とする腰痛を見つけるためのゴールドスタンダードとなる検査があればよいのですが、残念ながら現在はないようです。
そこでカイロプラクティックでは、痛みの起こり方や性質など、腰痛に関して詳しく聞き、さらに痛みがどのような力学的なストレスを加えると誘発されるのかを調べ、それらの情報を総合して椎間板が腰痛に関係しているかどうか仮説を立てます。その仮説に基づいてケアをおこない、その結果症状が改善されれば仮説が検証されたとして、どうも椎間板を原因とした腰痛だったようだと判断します。
椎間板が異常を起こすのはなぜ?
椎間板がなぜ異常を起こすのか、最近の研究では、椎間板を正常に保つ働きのあるコラーゲンを作る遺伝子の働き具合が人によって違うことがわかりました。そして、椎間板ヘルニアを起こした患者の椎間板は、実際にそのコラーゲンが少ないことが確認されたということです。同じ条件下でも、人によって椎間板の変化に違いがあるのは、こうした遺伝子が関わっているようです。


椎間板ヘルニアの新たな原因遺伝子「COL11A1」
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