腰痛 圧迫骨折

高齢者の急性腰痛の原因として増えているのが圧迫骨折です。日本では、70代男性のおよそ一割、女性は二割に圧迫骨折があるということです。80歳になると、全体の43%もの人が圧迫骨折を有するというびっくりするようなデータもあります。

こうした圧迫骨折は、加齢とともに起こる骨密度の低下が背景にあり、予防には骨密度を維持する食事と運動が大切になります。

一旦圧迫骨折を起こすと、背中が丸まって姿勢が悪くなります。腰は痛くなくても、ある時から急に姿勢が悪くなったというような高齢者では、自然発生的な圧迫骨折を疑います。

圧迫骨折が疑れた場合には、まず医師の診察を受けていただくようお話しています。圧迫骨折の治療ガイドラインによれば、4週間の急性期は骨折部位の安静固定を要するとされています。だいたい、しっかり固定しようとしてくれる病院だと、体幹ギプスを作ってくれます。それほどでもないと、プラスチック製の固いコルセットになるようですが、柔らかいコルセットでも、有用性に差はないという調査結果があります。効果が高い固定はギプスになりますが、着用の不快感が難点です。

急性期は、潰れた骨が固まるよう静かに寝ていることが勧められますが、ある調査によれば、3週間の安静でも骨の変形や偽関節化は予防できないという結果になりました。また、3週間安静にしていることで、骨密度と筋力の有意な低下が起きることも報告されていますので、できるだけ早く床を離れるのが望ましいようです。

もちろん、それによって骨折部分に負担がかからないよう、起きている間はギプスをすることが肝心です。もう一つ、この時期に大切なのは背骨に負担をかけない体の使い方を覚えることです。前かがみの姿勢は、骨折部分に圧力がかかって骨の癒合を妨げます。反対に、背中を伸ばすことが骨折を整復する方向になります。治療してできるだけ背中を伸ばした状態にできるようにします。急性期の圧迫骨折の患者さんの多くは、伸ばす時に痛むけど、一旦伸ばせば楽になるといいます。

また、長時間立っていると背中が苦しくなって横になりたくなります。その時は、無理せず横になって休みましょう。できれば背中が伸びた状態で横になります。

最初の一ヶ月は、適度な背中の伸展を保つこと、痛みによる血流低下を改善して十分な血液供給がされるようにすること、痛みの少ない立ち振る舞いを学ぶことが治療のひとつとなります。

 

重心動揺について

重心動揺を脊柱機能の指標のひとつに使っていますが、検査は静的・動的の二つをします。静的動揺検査は、立位で体の揺れる大きさ、周期、方向性を評価するものですし、動的動揺検査は、足踏みや歩行による偏りを調べます。

静的動揺検査は、開眼と閉眼両方で検査を比較できますが、足踏みによる動的動揺検査だと比較ができません。視覚情報のあるなしでの違いを見ることで、潜在的な平衡機能障害を見つけることができるはずですが、足踏みテストではそれができないということになります。

こうした検査の弱点を補う試みについての論文がありました。

タイトルは、「重心動揺計による動的平衡機能検査 健常者における生理的特性の検討(Equilibrium Res Vol. 71(2) 61~70,2012)」で耳鼻科の先生方による研究です。

概要は、拇指球を接地したまま踵だけ一定範囲の高さで上げ下げする足踏みを、毎分120回の速さで60秒間実施した時の重心動揺を計測し、健常者で開眼と閉眼それぞれの条件で比較してその標準値を求めようという試みです。

94の健常者データから、前後の重心動揺幅の平均値は、開眼で2.93、閉眼で3.87(p<0.01)でした。

データ母数が少ないのですが、一つの目安として使えそうです。

 

アスリートの筋バランス

ランニングやウェイトトレーニングなどのオーバートレーニングは、筋肉のアンバランスを引き起こすことがあります。また、サッカーやボクシングなどのコンタクトスポーツでは、日常的に筋バランスに問題が生じています。

筋バランスが損なわれる原因は、筋肉が機能できる範囲を超えた力が加わるからです。その結果、筋肉内にミクロな傷ができ、それに引き続いて神経的に筋肉が働くのを抑えるよう防御反応が起きて、バランスを失います。

筋アンバランスは、姿勢や走るフォーム、関節の滑らかな動きに影響してパフォーマンスの低下につながります。例えばハムストリングスが弱くなると、大腿四頭筋や大腰筋の働きが強まるので、スクワットでかがみこむような動作をしようとすると、膝を前にでやすくなります。片側のハムストリングスだけ問題を起こすと、体を捻って対応するようになるため、膝や股関節の運動が正しく行われなくなります。

正常な神経と筋肉のメカニズムを理解して、体の動きの評価を正しくできるようになると、それに対する治療でアスリートの機能を改善できるようになります。

腰痛 ぎっくり腰になったら試して欲しいこと

急にぎっくり腰になると、その日の生活に差し障って困ることがあります。子供を幼稚園に迎えに行きたいけど腰が痛くてどうしよう、などと急を要することは多々あります。

そんな時に試して欲しいことがあります。うまくすると、なんとか用が足りるくらいに痛みが軽くなります。

①腰を少し痛みを感じるところまで反らしてみる

一番はじめにすることは、うつぶせになって腰を反ってみることからです。もちろん痛みを感じると思いますが、無理に反らすことはなく、少し痛みを感じるところまでで結構です。まっすぐまで反れなければ、お腹の下にクッションを敷いて少し腰を持ち上げた姿勢からスタートしても構いません。反ったときの角度と痛みの強さ、痛みの広がる範囲をよく覚えておきましょう。

②繰り返して腰を反らす

楽な姿勢に戻ったら、また同じように腰を反らします。同じ反り方で5回繰り返して、5回目と最初の痛み方を比べます。最初より痛みが強くなったり、痛みの範囲が広がるようなら、それ以上はしません。もし、痛みが変わらないか、すこし楽になる様子なら、あと5回反ってみます。

③くり返し反ると腰痛がらくになるとき

うつぶせの姿勢から、我慢できる痛みの範囲で腰を反らせ、10秒反ったままの姿勢を保ちます。それを10回繰り返します。2時間に1回、この体操をしましょう。

上手くできない方、やり方が分からない方、この体操で腰痛がとれない方は、専門家の手助けが必要だと思います。藤沢近郊でしたら、私にお声かけください。お電話でのアドバイスも可能です。

 

スポーツパフォーマンスをアップする

自己の限界に挑むアスリートにとって、体のメンテナンスは欠かせません。わたしは、スポーツ選手や一般の方々に背骨から体幹を強くする指導をしています。

背骨から体幹を強くするというのはどんなことでしょうか。

体幹が力を発揮するには、呼吸力、神経と筋肉の協調、骨格の柔軟性、筋力といったことのほかに、背骨が体幹をしっかり支えることが必要です。背骨は、ひとつひとつが関節によってつながっています。背骨の関節の動きに障害が起きた状態を「脊椎関節機能障害」といいます。

脊椎関節機能障害があると脊柱全体のカーブに変化を起こします。脊柱がからだを支える能力は、カーブが少なくなると弱くなってしまうため、体幹の力が100%発揮できなくなります。

試しに、仰向けになって膝を伸ばしたままで、片側ずつ脚を45度くらい持ち上げてみてください。左右同じくらいの努力で持ち上がりますか。もし、どちらかが少し重いなと感じるようなら、体幹のバランスが崩れている証拠です。

左右左がなければ、今度は床にペタンとお尻で座った状態から、片足スクワットの要領で立ち上がってみます。左右とも安定して立つことができるでしょうか。このテストは、体重支持指数といって、下半身が体重の何パーセントまでパワーを発揮して体を支えられるかという数値と関係します。

床に座ったところから片足で立てれば、おおよそ体重の130%を支えるパワーがあることを示します。この数値であれば、スポーツ競技レベルをクリアしたといえます。もし立てなかったときは、背骨の調節をするとたいていの方が立てるようになります。

疲労のリカバリーにも背骨が関わっています。疲れたからだが休息モードに入って、消耗した体力を回復するには、自律神経が副交感神経優位にならなければなりません。でも、競技をしている方は、肉体的にも精神的にもストレスがかかり続けているため、交感神経を使いすぎて副交感神経が働きにくくなります。

背骨、とくに肩甲骨の間の背骨からは交感神経がでています。リカバリーがうまくいかないアスリートは、そこがとても緊張しているので脊椎関節機能障害を起こして交感神経に影響し、緊張の悪循環を起こしていることがとても多いのです。

脊椎関節機能障害を取り除くと、自律神経は休息モードに入り、速やかにリカバリーが始まります。

背骨の治療は、何世紀も前から行われていますが、それを専門とするカイロプラクティックが誕生したのは1895年のことです。カイロプラクティックは、背骨のズレが神経の正常な活動をじゃまし、構造的・化学的・精神(感情)的な機能を損なう原因になると考えています。

背中や腰、首の痛みだけでなく、胃腸の症状やアレルギーまで、カイロプラクティックで軽快する問題はいろいろとあります。この数十年で、カイロプラクティックはスポーツ医療の一画を占めるようになりました。オリンピックやプロスポーツの世界では、いまでは普通にカイロプラクティックを取り入れています。

アメリカでは、カイロプラクティックをするには免許が必要で、医学とほとんど変わらない厳しい教育を受けます。免許制度のない日本では、数ヶ月習っただけの人からアメリカと変わらない教育を受けたものまで、玉石混交ですので、大事な背骨の治療はしっかりと教育を受けたカイロ施術者にしてもらうようアドバイスします。