悪化傾向にある右の坐骨神経痛(27歳女性アルバイト)


主訴

1ヶ月ほど前、特に思い当たる原因もないのだが右腿の後ろに違和感を感じた。初めてのことだったが、これまでの軽度の腰痛などと同じように自然に回復すると思ったら悪化してきたので病院で診察を受けた。右の坐骨神経痛と診断され、痛み止め・電気治療・牽引をしたが一向に回復の兆しがない。セカンドオピニオンで別の病院に行くも同じ診断と同じ治療(正確にはやや強めの痛み止めを処方された)。起床時に辛く、常にある痛み・痺れは腿からふくらはぎ・足首にまで広がり、楽な姿勢が見つからない。咳・くしゃみでも辛く、アルバイトを1週間以上休ませてもらったが復帰しなくてはならない。

 

検査

姿勢に左右の大きな傾斜は見られない。歩行は恐る恐るで右立脚期がやや短い。神経学検査は反射・筋力に異常はないが、感覚は右下肢後外側にピリピリする感じがある。体幹の屈曲と反復で増悪し、伸展と反復で軽減する。梨状筋・中殿筋は過緊張をしていて、わずかな押圧で下肢症状が誘発される。SLRは右で30度。腰仙部に圧痛があり、押圧により主訴は増大する。

 

評価と戦略

腰仙部椎間板に関連した坐骨神経痛を疑う。痛みの程度がやや強いため、改善方向である体幹伸展と坐骨神経経路の筋緊張緩和を行い、神経の沈静化を図る。その後、脊柱・上下肢をチェックし腰仙部・坐骨神経に負担をかける要素を取り除く。

 

経過

初回の施術後には症状は半分以下になった。2日後来院時もある程度楽であったが、何度か自身で前屈などをしていたので厳重注意をした。本日3度目の来院時には、全体的にかなり楽になり、起床時の痛みの引きも早く、日中もそこまで辛くないとのこと。

 

要点

彼女の場合、大切な事は精神的な安心感を得ることです。

腰痛・下肢痛は4週間以内に半数は改善し、8割以上の人が12週間以内に改善する。しかし、12週間で改善が見られない方は慢性化し、様々な治療にも反応しにくくなってくる。統計学的に12週間は1つの目安になる。もちろん、統計的な大多数に当てはまらない希少な存在である場合はその限りではありませんが、確率の問題です。

彼女の症状は4週間続いているため、残されている時間はあまりない。さらに、悪化傾向にある・四六時中症状がある・仕事を休まなくてはならなかった・病院の治療でも改善しない・手術の可能性も言われた・セカンドオピニオンでも変わらない・何をすると良くて何をしてはいけないのかも分からない、というような状態です。

今回、施術もそうですが、これらの不安要素を3回の来院で繰り返し丁寧に説明しました。検査・施術で良くなる可能性も伝えました。すると施術毎に改善し、3回目の施術後には立位・歩行時の痛み・痺れはほとんどなくなりました。本人は不思議がっていましたが、良くなる事をして悪くなる事をやめれば改善していくことを実感されたようでした。

施術後は軽い足取りでニコニコ帰られました。

 

坂西