うつ病


うつと慢性痛

 
近年、うつを伴う慢性痛患者さんが増える傾向にあります。多くは軽いうつ症状ですが、なかには数年間うつ病で通院している方もおられます。
 
そうした方には、首周りの筋肉に緊張がとくに強いという特徴がみられました。そして、うつ症状がよくなると、緊張も少なくなっていくことが観察されました。
 
そこで、うつ病と診断された方に対して、標準的な脊柱ケアに加え、斜角筋群、胸鎖乳突筋、後頭下筋群の3種類の筋群について緊張度を評価し、最も強い緊張がある筋群への追加トリートメントを加えると、うつに伴う不眠や倦怠感などに効果があることが分かりました。
 
その結果を踏まえ、なぜそれらの筋緊張が高まるのかといった観点から、さらに一歩踏み込んで自律神経のストレス反応を検査したところ、ストレスに対する応答が遅れてしまい、あわてて極端に大きな反応をしてしまうという特徴的パターンをもっていました。
 
これは、ハンス・セリエのストレス学説にある「疲弊期」にさしかかった状態にあると考えられます。つまり、ストレスで副腎が疲れて、ホルモン分泌が滞っている状況です。
 

うつの日常を少しでも楽に過ごせるように

 
このようにうつで疲労した体は、強い刺激に耐えることが難しくなっています。治療も体にとっては刺激になるので、許容範囲を超えないようする必要がでてきます。もし、許容範囲を超えると、かえって具合が悪くなります。
 
毎日を少しでも楽に過ごしていただくために、ストレスの元になる痛みや不快感の軽減も大事ですし、副腎を回復させる生理機能の補助も必要です。
 
当院では、ブレインケアや東洋医学を脊柱ケアの追加治療として補い、成果を上げています。

はりでうつ病治療 神奈川県立病院、4月から

神奈川県は18日、県立精神医療センター芹香病院(横浜市)で4月から、はりなどを使ってうつ病治療に取り組む「ストレスケア病棟」を設置すると発表した。
県によると、都道府県立病院でうつ病治療専門の病棟を設置するのは初めてで、はりを使った治療は珍しいという。
薬が効かなかったり、副作用が大きいうつ病患者などが対象。はりによる血行改善に治療効果があるとみられるという。
医師、看護師、鍼灸(しんきゅう)師などがチームで治療に取り組み、8の字形のコイルに電流を流して磁気を発生させ、脳を刺激する「磁気刺激治療法」や、患者に強い光を当てることでホルモンの分泌を調整する「高照度光照射療法」なども行う。
県内の自殺者数は1998年以降、年間1600—1700人で推移しており、多くがうつ病を患っているとみられるが、患者の約3割には薬が十分効かないというデータがあるという。同病院は「少しでも多くの患者を救いたい」としている。
(記事提供:共同通信社)


日本経済新聞より抜粋