筋骨格系疼痛をそのメカニズムによって分類すると、次のようになります。
- 侵害受容性疼痛
- 末梢神経因性疼痛
- 中枢感作性疼痛
侵害受容性疼痛(NP)は、組織を害する化学的、機械的、熱的刺激に応答する一次求心性ニューロンの自由神経終末活動による痛みです。侵害受容性疼痛に関連する症状や兆候には、
- 障害や機能不全の領域に限局した疼痛範囲
- 増悪や緩和の要因に対する明確な機械的、解剖学的性質
- 動作や機械的刺激で増悪する断続的な鋭い痛み
があります。また、次のような兆候がないことが必須です。
- 持続的鈍痛、安静時にもズキズキする痛み
- 痛み以外に別の異常感覚を伴う
- 夜間の痛みやそれによる睡眠障害
- 痛みから逃げるような姿勢や動作
- 撃たれた、焼け付く、突き刺さる、電撃のような痛み
こうした特徴の症状であれば、感度90.9%、特異度91.0%で分別が可能です。
末梢神経因性疼痛は、末梢神経の原発性病変や機能不全から生じる痛みです。その特徴は、
- デルマトームに沿った痛みの分布がある
- 神経に障害、疾患、機械的損傷の既往がある
- 神経組織に対する機械的刺激による症状の誘発がある
ことです。この特徴があれば、感度86.3%、特異度96%で分別できます。
中枢感作性疼痛は、中枢神経系の神経生理学的機能障害から生じる痛みです。その特徴は次の通りです。
- 組織の治癒時間を超えて持続し続ける痛み
- 解剖学的パターンに沿わない広範囲の痛みの分布
- 通常は痛みを起こさない弱い刺激で誘発される痛み
- 機械的な臨床検査の結果が矛盾する
このような特徴が見られたら、感度91.8%、特異度97.7%で他の痛みと分類することができます。
出展:K.M. Smart et al,Mechanisms-based classifications of musculoskeletal pain: Part 1 of 3: Symptoms and signs of central sensitisation in patients with low back (±leg) pain,Manual Therapy Volume 17, Issue 4, August 2012, Pages 336-344