空間座標上の骨盤の位置は、股関節の位置に左右されます。前捻角のバリエーションにより発生する股関節の構造的な内旋は、代償的な骨盤偏位をもたらします。前捻角は、大腿骨内・外側踝を結ぶ直線と大腿骨頚の中心線がなす角で、正常範囲は8度から15度とされ、前捻角が8度未満で大腿骨は外側に向き、15°以上で内側に向くようになります。
そのために、前捻角が大きいと股関節骨頭が臼蓋の安定位置に納まるよう内股、骨盤前傾位をとります。内股の代償として膝関節は外旋し、距骨下関節オーバープロネーションを起こして足底アーチが低下し、母指を外反させる力が働くようになります。反対に前捻角が小さいと外股になって膝関節内旋、骨盤後傾になりやすいとされています。左右前捻角が非対称の場合、前捻角が大きい側の骨盤は後方に回旋します。統計的に、股関節前捻角が小さいことは少ないようです。
前捻角の検査法としてクレイグテストCaraig’s testがあります。正常前捻角は、骨盤アライメントの第一条件であり、前捻角異常が疑われるときは最初に確認する必要があります。前捻角過大を疑う所見は、
・あぐら座よりW坐がしやすい
・膝蓋骨が内向きになる
・骨盤回旋が目立つ
・X脚