脊柱の安定性は、次の3つのシステム間の相互作用に依存するとされています。
- 受動的システム 椎骨、椎間板、椎間関節、関節包、靱帯
- 能動的システム 分節間をまたぐ筋力
- 神経システム 能動的システムを制御する中枢神経及び末梢神経系で情動や心理的要因が影響する
(Panjabi, 1992)
腰椎が不安定化しやすい脆弱な状況は、以下のようなときです。
- ニュートラルゾーンにあるとき
- 腰椎にかかる負荷が小さくて筋出力が低くなっているとき
- 受動的システムの剛性が低下しているとき
- 神経筋コントロールのタイミングが悪いとき
ニュートラルゾーンは、分節間で組織のテンションが拮抗して最も位置エネルギーが低く、柔軟性が高い位置になります。ニュートラルゾーンでは、関節の制御は筋肉に依存し、言い換えれば筋紡錘からの固有感覚フィードバックに依存しています。運動制御機能が低下すると、ニュートラルゾーンの制御も失います。また、椎間板の障害や変性によりニュートラルゾーンは拡大します。
(Cholewicke & McGill, 1996; Gardener-Morse, Stokes, & Laible, 1995)
また、圧縮荷重が高まると組織損傷のリスクも高まります。圧縮荷重が高まるのは、次のような状況下にあるときです。
- 高レベルでの筋力発揮
- 持続的な付加
- 弾性限界可動域での負荷
弾性限界可動域は、可動域の週末に向かって弾性組織による抵抗が急激にピークを向かえる角度で、組織障害のリスクが大きな部分でもあります。
(Cholewicke & McGill, 1996)