セラピストは、検査および測定で特定できる障害の要素の間に関連性があるというエビデンスを示す責任があります。また、治療によって身体の機能障害が軽減するのみならず、機能的能力もまた改善することを示すのも、セラピストの責務です。しかし、徒手療法におけるエビデンスの集積はまだ十分とは言えません。わたしたちは、少しでも多くのエビデンスを得るよう、努力が望まれます。
私たちが扱う障害は、主に細胞レベルで特定される病理的変化を示す一連の兆候や症状をあらわしているとは限りませんが、解剖、生理、心理の各分野における病的過程を理解することで、医学的介入の必要性を知ることができます。しかし、このような病理や病態生理の知識だけでは、機能障害の評価や治療には十分とは言えません。病理的変化の程度とそれに伴う機能障害や動作の制約の強さは、個人差がかなりあります。画像診断で同じ程度の病変がある人どおしでも、ひとりは日常生活にほとんど制約がないのに、いっぽうは杖が必要だということがよくあります。
そこでセラピストは、機能に影響するような特定の症状を注意深く観察する必要があります。