背臥位や膝立背臥位は、評価には適したポジションだが、トレーニングには適切でないことが多い。Sapsfordら(2001)によれば、ドローインと腹筋で固める2つの方法の腰部骨盤アライメントは、中間位か前傾位で腹横筋が最も活動し、後傾位では腹斜筋の活動が高まるとのことである。つまり、腹部の深部筋をトレーニングするには中間位にすることがベストであるということになる。

骨盤の中立位を妨げる問題としてバットグリッピングやチェストグリッピングがある。彼らが仰臥位でトレーニングしようとしても、骨盤が後傾しているためうまくいかないことが多い。そこで、まず全ての制限因子をリリースすることが鍵になる。また、彼らにとっては腹臥位や側臥位がトレーニングに適している。

側臥位での他動的なポジショニング

両膝を曲げた側臥位で、セラピストは正面に立って頭方手で腰部を触診する。バットグリッパーは骨盤を後傾して大転子が圧迫されるような締めつけポジションを確認し、表在筋の過緊張を確認する。

締めつけポジションにあれば、骨盤を中間位に戻し、腰椎弯曲を再確認し、下肢を屈伸することで自然な腰椎前弯が得られるよう腰椎分節のポジションを修正する。多くは、足底が体幹と同じ面状にあると中間位になる。

患者には、腰部に触れてもらっていつものカーブの様子と、中間位との違いを理解してもらう。

腹臥位での他動的なポジション

腹臥位は、表層筋が発達したアスリートやチェストグリッパーに適した姿勢である。腹臥位で腰椎弯曲、大腿骨頭を触診して前方変位の有無と、表在筋の過緊張を触診する。

膝立背臥位でのロールアップ/ダウン

膝立背臥位で、セラピストの頭方手を脊椎の下にいれ、棘間を触診する。また胸骨の挙上や下部胸郭の下に隙間がないか注目する。患者に「これからフラットな腰椎弯曲や不均一なカーブを修正します」と伝え、患者の手を胸骨の上部と下部に置かせ、セラピストの手は片側の股関節と下腹部を触診する。患者は骨盤を後傾し、腰椎をフラットか後弯する。さらに足で床を押して臀部から下部胸椎まで順々に持ち上げて、脊柱に緩やかなCカーブを作るように意識させる。脊柱の伸展が強い部位や、起立筋が緊張する高さまでは上げない。次に、胸郭から順に脊柱をテーブルに降ろしていく。脊柱がフラットな状態まで降ろしたら、今度は尾骨だけを浮かせて戻す様に動かす。このときに前弯が生じる部位を観察する。また胸骨の挙上にも注意する。

骨盤帯 第11章より抜粋

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