姿勢制御に関わる感覚入力は、視覚、前庭感覚、体性感覚である。これらの感覚は中枢で統合されて利用される。
特徴
視覚は、周囲の物体間の相対的な位置関係の情報を提供する。頭部の位置や移動に関する情報源となる。視覚は、姿勢の定位に対して最も重要であるとされるが、先天性盲人も立位姿勢を保持でき、かつ健常者が視覚を遮断しても立位姿勢を保持できるので、必ず必要ではない。
体性感覚は、身体と支持面との相対的な空間的位置関係についての情報源となり身体各部位の位置関係についても情報を提供する。
前庭感覚は、頭部に加わる加速度に関する情報源となり、とくに重力から鉛直に関する感覚基準が形成される。前庭には半規管と耳石器があり、半規管は歩行などの移動やスリップ、つまずきでバランスを崩したときの比較的早い頭部の運動に敏感なのにたいし、耳石器は比較的ゆっくりとした頭部の運動に敏感である。耳石器の入力は、とくに重力に対する頭部の定位に重要である。
感覚入力に対する重み付け
姿勢制御に置ける感覚入力の重みには個人差がある。Kluzik et al.の実験では、立位姿勢維持に足関節固有感覚に重みが大きい者と、前庭感覚の重みが大きい者がいることを示唆している。この重み付けは固定したものではなく、中枢神経が感覚入力の信頼性に応じて調整していることがHwang et al.の研究で示唆されている。