小脳の運動制御レベルには次の3つがある。

前庭小脳

片葉小節葉と虫垂に隣接する領域。姿勢を変える際の筋バランスを調整するのに重要。足の体性感覚は、脳に伝達するまでに15〜20msecの時間がかかり、その間に足は25㎝ほど移動してしまうため、運動制御に遅延が生じる。前庭小脳は、体の(頭の)移動速度と方向の情報から体の位置が次の数msecでどう変位するかを計算して運動を修正している。

脊髄小脳

前小脳と後小脳の虫垂および中間部の領域。四肢遠位、特に手指の運動のフィードバック制御をする。中間部では、運動の企図を事前に知らせる運動皮質及び赤核からの遠心性コピーと、四肢遠位からのフィードバック情報を受けて両方を比較し、修正シグナルを運動皮質と赤核脊髄路に送る。赤核脊髄路は四肢遠位、特に手指の運動ニューロンに分布する皮質脊髄路に合流する。遠心性コピーとフィードバック情報を比較して、企図した運動を遂行する拮抗筋の収縮開始、完了させる運動パターンを学習することで、運動がいき過ぎず、正確に企図した位置で制動をかけている。

大脳小脳

小脳半球の外側領域。ある運動から次の運動に順序良くスムースに移行するためには、運動前野と一次感覚野(運動野ではない!)からの運動企図が大脳小脳に送られ、続いて行う運動の筋パターンを送り返している。字を書いたり、走ったり、話したりするような複雑な運動では、ある時間内に体の各部位がどの程度動くのかを予測して、次の運動をいつスタートしたらいいか決めなければならない。このような、運動の予測や時間調整を大脳小脳はしている。

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