脳疲労の回復には、ニューロンのエネルギー代謝を正常化することはとても重要です。
糖を頻繁に取る食生活やストレスが続くと、細胞のインシュリンに対する抵抗性が高まるので、エネルギー源になるグルコースを上手く利用できなくなる結果、ニューロンのエネルギーは低下し、疲労から回復ができません。
そんなときに有効なのが、中鎖脂肪酸を補助につかうマイルドな糖質制限です。
糖質を制限すれば、インシュリン抵抗性は改善しますが、体が慣れるまでニューロンにはエネルギー不足が起きてしまいます。それを助けるために、中鎖脂肪酸から作られるケトン体を代替エネルギーとして利用しようというわけです。
それでは、中鎖脂肪酸の生理的な働きについて記載します。
中鎖脂肪酸は、水に溶けやすく、胆汁による乳化を受けなくても、グルコースやアミノ酸と同様に門脈を通って肝臓に直接運ばれる。
肝臓では、エネルギー源として利用されるが、カルニチンを使わなくてもミトコンドリアに取り込まれてアセチルCoAに代謝されるので、長鎖脂肪酸と比較して極めて早くエネルギーに転化できる。(C.C. Metges, & G. Wolfram,1991)
また長鎖脂肪酸と比べて、肝細胞内で脂質として蓄えられる割合が極めて低い。(M.N. Berry et al, 1983)
短期摂取効果
- 食事誘発性体熱産生(DIT)が高い(A.G. Dulloo et al,1996)
- 血中トリグリセリド濃度の抑制(C. Calabrese et al,1999)
- 体脂肪蓄積の抑制(M.Kasai et al, in press)
安全性
中鎖脂肪酸は、乳製品、やし油、パーム油など、日常口にする食品に含まれている。また、動物試験で、毒性や催奇形性、発がん性、刺激性に異常は見られない。(K.A. Traul et al,2000)
短期的に大量摂取した場合、肝臓で大量のアセチルCoAが産生され、血中ケトン体が一過性に上昇するが、速やかに末梢でエネルギーとして利用され速やかに低下するので、ケトアシドーシスとはならない。(Y.-Y.Yeh& P.Zee, 1976)
引用 青山敏明,中鎖脂肪酸の栄養学的研究 -最近の研究を中心に-,オレオサイエンス 2003
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/3/8/3_403/_pdf