姿勢について
腰痛や肩こりなどの筋骨格系の痛みに対するアプローチの根本は、姿勢をコントロールしている中枢神経系と運動器系の相互作用にかかわっています。
神経や運動器、どちらの機能が不完全であっても、体の緊張や姿勢バランスの変化として現れ、その結果痛みを引き起こすリスクが高まります。
各種の痛みを訴える患者さんをみると、どんな痛みであっても多かれ少なかれ、姿勢の変化を観察することができます。すなわち痛み=姿勢の問題、ということではありませんが、最終的に姿勢がよい状態にあることが、痛みの改善の指標であるといっても過言ではないでしょう。
悪い姿勢ってなに?
脊柱から重心が離れた姿勢のことです。
姿勢は、前後・左右・回転の3D要素から成り立っています。 これらの各要素の中心になるのが脊柱です。脊柱の椎間板や靱帯、そして筋肉が体の重さを支え、運動時の支点を作っています。
体は、手足、骨盤、胴体、胸郭、頭と大きく分けることができます。そのそれぞれに重心があります。重心を並べた線上に、脊柱の要所要所が配置されているとき、静的にはもっとも安定した姿勢となり、筋肉が無駄なエネルギーを使わなくてもすむので、疲れにくく、コリや痛みも起こりにくい状態であるといえます。
もし、各重心点が脊柱から少しでも離れてしまうと、そこに関節と筋肉によるてこが発生します。その結果、支点となる脊柱に大きな力が加わるとともに、力点に力を与える筋肉に収縮が起こります。もし、そのままじっとしているのであれば、脊柱と筋肉には力が加わり続け、問題を起こす原因となります。
左は正常、右は前方に重心が離れている。
上半身の姿勢異常
上位交差症候群
ボーリング程の重さがある頭がまっすぐに乗っていないので、それを支える首の筋肉は過剰労働となります。首の筋肉は緊張が強くなり、頭痛が起こしたり、背中や腕に痛みを出したりします。この状態が長年続くと、頚椎自体が変形するなど元に戻れない状態になってしまいます。
下半身の姿勢異常
下位交差症候群
足腰の不調で多く見られるのが、下位交差症候群(Lower-Crossed Syndrome) です。他にも上位交差症候群や層状症候群などもありますが、今回は下半身のタイプを紹介します。
ということは、筋肉のアンバランスが身体にもたらす影響は計り知れないことになります。多くの時間を筋肉がアンバランスな状態で活動していれば、身体への負担は増え、不調を生み出し、やがて痛みや痺れなどの症状を救命信号として表すようになるでしょう。