左右脳バランス、自律神経、感覚異常、運動障害を改善

姿勢改善のカギ

 
上部胸椎がキーポイント


  • 運動力学の観点から、カイロプラクティックでは多くの患者に上部胸椎(第7頚椎〜第5胸椎)の可動制限があることを見てきました。上部胸椎の可動制限は、頸椎ヘルニア・下部頸椎変形性関節症・肩関節周囲炎・ローテーターカフ・腰痛と関連するようです。
  • Dr. Len Faye の著書「Motion Palpation and Chiropractic Technique」には、メジャーな可動制限と2次的なものとを区別しています。メジャーな可動制限は、他の関節や主訴の部位と離れていても最優先されるべきだと書かれています。私たちの臨床経験では、頚胸部などの移行部でメジャーな可動制限が多く確認されます。Dr. Karel Lewit の「Manipulative Therapy in Rehabilitation of the Locomotor System」でも、この視点について記しています。
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上部胸椎から全身へ


  • 胸椎の可動制限は重要であるにも関わらず、頸椎や腰椎と比べて注目が低いようです。近代社会の生活習慣では、胸椎は身体の中で脆弱な部位の1つです。
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  • まず、胎児の脊柱は後弯しています。人体は4歳になるまでに安定した直立姿勢を保つ事が出来るように設定されているのですが、テレビ・インターネット・柔らかいソファ・机/椅子の位置関係などにより、胸椎に過剰な後弯が強いられます。その結果として、頸椎前弯の減少/消失とその代償による環椎後頭関節の過剰伸展が起こります。これは視線を並行に保つ為です。
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  • 腰椎では自然な前弯形成が出来ず椎間板にストレスが加わり、座ったり前屈したり捻ったり持ち上げたりする日常動作で椎間板を傷めやすくなります。
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頚椎への影響


 

  • 上部胸椎の柔軟性がないと頚深部屈筋群と腹筋が上手く機能しにくくなります。言い換えれば、上部胸椎の柔軟性があると頚部・腰部の前後のバランスを取る事が出来ます。ちなみに、頚部の前後バランスに関わる重要な筋肉は上部胸椎に付着しています。
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  • 正常な頸部回旋時には、頸椎だけでなく第4胸椎までの柔軟性が求められます。上部胸椎の可動制限を持つ患者の頚部自動可動域はほとんど制限されないのが典型的です。Norlanderらによると、上部胸椎の可動制限と頚部痛には大きな関連があると報告しています。Cleland は頚部痛患者に対しての胸椎治療によって良好な結果を報告しています。
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  • 上部胸椎の治療は肩関節周囲炎患者に対する効率的な治療の構成要素になっています。
  • 上部胸椎の可動制限は、下部頸椎の過剰運動によって代償されます。脊柱の機能は脊髄を守るだけでなく、自由に動く事です。必要な動きが制限された場合、動きを止めるかどこかに代わりに動いてもらうしかありません。代わりに動かなければならなくなったところは、耐えられる許容範囲以上の負荷が強いられ、場合によっては壊れてしまいます。
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  • 若年での急性頸椎椎間板ヘルニアは第5〜7頸椎に頻繁に見られますが、年齢を重ねるごとに身体は老獪な選択をします。過剰な関節運動を安定させる為に、その部位の骨は増え、骨棘が出来ます。関節の安定に貢献する自然な反応である反面、椎間孔もしくは脊柱管は狭くなります。
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根本的な問題解決を図るカイロプラクティック


  • カイロプラクティックは患者が訴える症状ではなく、その根本を治療します。筋骨格系の頚部痛・腰痛・肩部痛の本当の原因は上部胸椎の柔軟性の低下です。この関節機能障害が進行した場合、ステロイド外注・手術などの治療が必要になる事もありますが、長期的な症状改善にはこの根本理由は最も重要です。
  • 以下に上部胸椎可動制限の検査法や治療法などの詳細を記します。

 

  • 検査
  • 経験豊富なカイロプラクターは、触診で見つけた所見と運動・機能評価などの所見を合わせる事が出来ます。訓練された精密な触診能力を持つ臨床家は、関節可動制限・過剰運動・軟部組織の病理を触知出来ます。Dr. Lewit は、「人の手は最も偉大な治療手段であり、今後もあり続けるだろう」と言っています。
  • 機能評価の目的は、患者の機能や運動能力や問題点を見つける事です。椎間板ヘルニアや関節炎などの構造的問題は、気をつけるべき事ではありますが必要以上に強調されるべきではありません。
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  • 患者の痛みの原因は臨床家による触診と機能評価を通して明らかになります。上部胸椎機能障害のある患者に頻繁に見られるのは、第4胸椎壁下がりもしくはスクワット運動での異常です。まだこの時点で分かるのはおおまかな問題点だけです。上部胸椎伸展制限・広背筋/大胸筋/小胸筋の過緊張・横隔膜の機能低下などが疑われ、各々に対して詳細な検査をしていきます。
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  • 横隔膜は適切な呼吸と姿勢の安定性に貢献しています。横隔膜を使った呼吸をする時に、副呼吸筋は柔らかく弛緩しています。多くの上部胸椎可動制限を持つ患者には、斜角筋の肩甲骨挙上筋の過剰使用が見られます。呼吸を適切にするという事は、毎呼吸によって自然な動きが脊柱・肋椎関節・胸鎖関節に加わります。さらに横隔膜は腹腔内圧を通して腰部の安定にも欠かせません。
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  • 関節運動制限は内的・外的要素で起こります。外的要素は、不適切な姿勢・外傷・猫背などです。上部胸椎可動制限の内部要素は不適切な上肢の安定性があります。多くの患者が上部僧帽筋と健康挙筋によって上肢運動を行い、この動き方は前挙筋と中・下部僧帽筋を抑制します。つまり、腕を使う時に必要以上に頚部の筋を使いすぎてしまっている状態です。これは肩外転試験と腕立て試験にて評価出来ます。頸椎に不利益なこの筋肉の使い方は、肩の異常にも繫がります。時間とともに不適切な筋肉の使い方は上部胸椎の機能異常を引き起こします。
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ふたつの治療で相乗効果が期待されます


  • カイロプラクターは関節機能異常に焦点を当て過ぎ、関連した不適切な運動パターンの評価・治療を見逃してしまう傾向があります。臨床家が忘れては行けない事は、徒手矯正は上部胸椎に対して効果的な治療法だと言う事です。臨床経験より、この治療は上部胸椎に関わるリハビリテーションの回復を促進します。
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  • 繰り返しますが、適切な姿勢を考慮しない治療を繰り返しても、長期的な効果は得られない場合が多いです。たった一度の外傷が上部胸椎機能障害の根源になる事はありますが、蓄積された負担の方がより一般的な原因です。

 
 
 
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姿勢

 
 
頭部前突(外耳が肩峰より前方)
 
腕が内側に捻れ、胸筋・広背筋・肩甲下の短縮を伴う丸まった肩

機能評価

 
 
不適切呼吸:吸気時に上位肋骨が頭方に移動する・腹部が動かない・下位肋骨が外側に広がらない
 
理想→呼吸は胸郭が縦よりも横に広がる
 
T4壁滑り:手が壁につかない(肩関節内旋筋の過緊張もしくは短縮)・前胸部の挙上(横隔膜の機能異常)・頭部もし
くは腰部が1インチ以上壁から離れてしまう
 
スクワット:腰椎前弯の消失
 
正常→腰部前弯と膝蓋骨の安定を保ったまま水平以下まで下がる
 
理想→正常なスクワットに加えて両手挙上
 
肩関節外転:60度外転前に肩の挙上が起こる
 
腕立て伏せ:肩甲骨の引き込み/浮上/すくみ

筋長評価

 
広背筋筋長試験
 
胸筋筋長試験

関節運動評価


 
上部胸椎伸展
 
 
 
 
 
 
 

臨床応用


 
第4〜8胸椎は筋骨格系症状のほとんどの評価に重要です。頭部前突による頭痛・頚部痛・上肢放散痛は、胸部過剰後弯の2次的な問題かもしれません。つまり、姿勢・スクワット・肩関節外転・呼吸・腕立て伏せにおける胸椎の機能評価は必要不可欠です。
 
次の疑問は、治療の優先順位をどうするか、です。直接的には、脊柱の安定性を高める前に第4〜8胸椎の柔軟性を高める事です。これは Prague School (http://www.rehabps.com/REHABILITATION/Home.html) の根本哲学とも一緒です。ただし、正しいスクワットやランジによる神経と筋の関係を再教育する事も同様に効果的です。これは自動的に直立姿勢を促します。他にも神経と筋の安定性を高める方法など、正しい直立姿勢へ導く治療はたくさんありますが、神経ー筋ー関節の関係を深く理解する事が求められます。

カイロプラクティック

  • カイロプラクティックは、脊柱を整えて神経の流れを良くし、自律神経の働きも改善されるため血行が良くなります。脊柱管狭窄症の治療も、世界各国のカイロプラクティック研究機関でされています。
  • 当院で治療にあたるカイロプラクターは、全員がカイロプラクティック専門大学を卒業し、1年以上の研修を積んだプロフェッショナルです。安全で効果的な治療ができる技術と知識をしっかり身につけています。