O’Sullivan先生によると、運動制御をマネージメントする目的は、慢性的な痛みの根底にあるメカニズムの振る舞いを変えることにあります。

そのために、行動に認知を結びつけた戦略をとります。

運動を学ぶには、3つのステージがあります。

1.認知ステージ

– 痛みのメカニズムについて知識を提供する
– 痛みに対するアクティブなコントロールを教える(能動的対処)
– 痛みのコントロールと機能強化による恐怖と不安の軽減
– 否定的な信念を変える
– 痛みの病理学的焦点を減らす/痛みに焦点を当てた機能を強化する – 過敏性を減らす
– 機能的活性化

*腰部から腰部骨盤運動を訓練する/胸郭とは独立した状態にする*横隔膜呼吸を開始する
*体重負荷におけるローカル筋の機能的活性化

認知ステージで最初に必要なのが骨盤と腰部を胸郭から独立させることで、それには呼気を意識して腹式呼吸でゆっくりと鼻で息をする訓練を、最初は仰臥位で、慣れたら座位か立位で行います。つぎに、 骨盤前傾及び腰椎伸展動作と胸郭運動が分離できない問題に対して、膝立背臥位で骨盤前傾動作をしながら胸部のリラックスを訓練し、次いで胸部の屈曲を仰臥位、座位、膝つき姿勢、座位からり対への移動、スクワット、立位体前屈、リフティングと進行させていきます。反対に骨盤後傾と腰椎屈曲動作から胸郭を分離する訓練もします。起立筋や腸腰筋の過緊張による腰椎伸展パターンには、過活動筋に対するストレッチや筋エネルギーテクニックによる抑制、四つ這いで腰部を屈曲したまま骨盤底筋と腹横筋の共同収縮トレーニングをします。骨盤の側屈を胸部及び股関節外転から分離できない問題には、仰臥位での片膝立て姿勢や側臥位で骨盤だけ側屈させるトレーニングをします。最後に胸部を安定化するため、横隔膜呼吸トレーニング、浄福壁軟部組織リリース、中立的な胸部姿勢の訓練を行います。

2.統合ステージ

統合ステージでは、障害を悪化させるような間違った姿勢や動作パターンを特定し再学習します。それには、誤ったパターンを避け、正しい姿勢を維持する持久力を鍛えます。短時間で姿勢を変え、痛みをコントロールする必要があります。また、低レベルの有酸素運動が有効です。正しい屈曲動作パターンのトレーニングとしては、仰臥位、座位、ニーリング各姿勢で、胸部のポジションを保持しつつペルビックチルト、胸椎回旋、胸椎屈曲の訓練をします。また、座位、スクワット、歩行時に脊柱をリラックスした中立位で維持するトレーニングをします。受動的な伸展動作バターンのトレーニングは、座位、ニーリング、立位、ヒップヒンジ、スクワットで、上部腰椎の自然な前弯位、上部腹壁の抑制、上部腹壁の正しい腰椎の前弯姿勢を確認します。能動的な伸展動作パターンは、股関節や胸部の屈曲なしに骨盤後傾できるように仰臥位、膝立背臥位、座位、立位でトレーニングします。また、腰椎が前腕しないように骨盤前傾する訓練も有効です。さらには、腰椎前弯を維持したままヒップヒンジできるように訓練します。骨盤の側屈パターンは、座位、立位、スクワットで胸腰椎のアライメントを維持しながら骨盤の側屈ができるよう訓練します。また、片脚立ちや歩行での体重移動による脊柱骨盤のアライメント維持をトレーニングします。骨盤閉鎖力のトレーニングは、骨盤底の挙上、腹横筋、多裂筋、大殿筋の共収縮とアウターの抑制を訓練します。過度な閉鎖力に対するトレーニングは、骨盤底、腹横筋、多裂筋、大殿筋の意識的な収縮を酒、リラクゼーションと横隔膜呼吸による増悪姿勢下での脊柱のリラックスを学びます。また、有酸素運動も有効です。

3.自動化ステージ

自動化ステージでは、姿勢制御に求めるレベル、たとえば一般的な活動レベル、競技レベルなどに応じて、トレーニングの速度や負荷、複雑性を変えます。促通および抑制戦略としては、認知運動や視覚的フィードバック、運動イメージ、痛みのフィードバック、触圧覚刺激やテーピングを利用します。このステージの成功は、支配的な認知要因、セラピストの技能、中枢感作の強さ、多方向のLSI、全ての方向で苦痛を伴うか、コンプライアンス、発達障害などの要因に依存します。

Peter O’Sullivan, Diagnosis, Classification Management of Chronic low back pain

From a mechanism based bio- psycho-social perspective ,Specialist Musculoskeletal Physiotherapist (2006)

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