腰椎の位置
背部損傷後は、損傷の種類や負荷を受けた組織の応答によって、望ましい持ち上げ姿勢を指導する必要がある。
骨盤後傾、腰椎屈曲位で持ち上げるとき、筋活動はほとんどなく非収縮性組織が脊柱を支持する。屈曲位でゆっくりと持ち上げると、人体に負荷がかかり続け、組織が変形する。もしその組織が弱っていると、損傷の可能性が高くなる。また、筋は伸長弛緩しているので、負荷の急変に対応するのに望ましくない張力・長さ関係にあり、万一の時に靭帯を助けることができない。
腰椎伸展位で持ち上げると吐き、筋の作用が大きく、椎間板に対する圧力が増大する。また椎間関節は近接位になる。靭帯への負荷は軽減されるが、背部筋の疲労は早く、靭帯の保持が期待できない。
負荷の位置
物を持つときは、重心にできるだけ近づける。股関節を回旋し、体幹の回旋を最小にした負荷の側方への移動及び振り向き動作を実践する。
家庭や職場、運転中の配慮
中間位を維持しやすいよう椅子やシートにランバーサポートを設置する。膝屈筋の緊張を取り除くために、両足が心地よく床における椅子の高さに設定する。長時間の座位のため、肘掛を用いる。机やテーブルは、作業のために乗り出す必要がない高さに設定する。作業や運転中、頻繁に姿勢を変える習慣をつける。1時間に一回は立って歩く。
骨盤帯 第16章より抜粋]]>