検査の概要

自律神経機能の微細な変化を知るための効果的な方法のひとつに、起立検査が広く知られています。起立検査では、患者は数分間座ったまま心身をリラックスした後に起立します。姿勢が立位に変わると、生理的な反応として心拍と血圧に特徴的な変化が生じます。この検査は、重力によって引き起こされた血流量の変動に対して循環を調節する交感神経系と副交感神経系の評価に役立てることができます。評価は、仰臥位安静時の心拍と立位時の心拍数の差でおこないます。

健康な人なら、立ち上がったり、立位を数分間維持しても、身体活動に目立った変化が生じることはありません。しかし、自律神経系による調節機構に機能的能力な異常があると、体位の変換が身体活動を変化させるストレス要因となります。

きりつ名人の起立検査は、HRV 解析をベースとした、自律神経機能と健康レベルを定量的・定性的に評価する方法です。 まず、3つの電極を手足に装着します。被験者は、2 分間座位を保ち、次に 3分間立位に、その後に 1分間座位位になるように指示されます。平均心拍数やRR間隔スペクトルを解析したデータが集められて、最終的な結果が定量的な形式と定性的な形式の両方で生成されます。

生理的背景

下の図表は、起立法によって生じる生理的プロセスを表したものです。このプロセスは、以下に示す 2 つのフェーズで構成されます。

起立代償期

座位から起立すると、重力の影響によって、血液は下肢に落下するので、下半身の動静脈圧が上昇し、心臓に戻る血液量が減少します。中心静脈圧が下降して、1 回拍出量と心拍出量が減少します。大動脈に駆出される血流が減少し、平均動脈圧が下降します。

動脈圧が下がった結果、脳への血流が不足してめまいや脱力感を起こさないための調節機能は、圧反射と呼ばれています。大動脈弓壁と両方の頸動脈にある圧受容器は、平均動脈圧の変化を常にモニターしています。立ち上がることで平均血圧が下降すると、圧受容器への刺激が増大し、脳幹の血管運動中枢に警告が発出されます。血管運動中枢への刺激が増大すると、副交感神経の緊張が急速に減少し、反対に交感神経の緊張は増大します。

副交感神経緊張の減少と交感神経緊張の増大により、心拍の急激な上昇および心筋の収縮、末梢動脈の収縮を引き起こします。また、骨格筋が収縮して、過度に拡張した静脈の血液が心臓に強制的に戻されます。このプロセス全体では 1 回拍出量および心拍出量、平均動脈圧が増大し、最終的には起立によって生じた循環系の変動が正常化されることになります。

起立回復期

起立によって生じた循環系の変動が正常化されると、自律神経は身体は立位という新たな姿勢で循環のバランスを取るための回復プロセスとして、心拍および 1 回拍出量、動脈圧を下降させます。

圧受容器への刺激が少なくなって脳幹の血管運動中枢への刺激も減少することで、副交感神経活動が増大し、交感神経活動は減少します。このプロセスは、最後には心拍数を減少させるとともに、心筋などの収縮力も低下させて 1 回拍出量および心拍出量、平均動脈圧を新しい姿勢に合ったレベルまで減少させます。

変化に適応しようとする自律神経機能が、健康にとって欠かせない働きであることは明らかです。自律神経系の2つのシステム、つまり交感神経系と副交感神経系がこの調節能力を司っているため、これらの効率性を評価することが重要になってきます。起立法は、そのもっともシンプルで効果的な手法です。

検査結果

検査結果の記録が完了すると、以下に示す心血管/HRV パラメータがソフトウェアによって計算されます。

起立法による HRV 測定

起立法解析ソフトは、起立法 (姿勢を座位から立位に変えさせて測定する手法) によって生じた心血管系の生理反応を表している特定の HRV パラメータを計算します。

計算の対象となるパラメータ:

「心血管耐性」 ― 心血管系の動的調節能力の指標です。これは、起立による生理的プロセスから算出された HRV パラメータをベースにして評価されます。「心血管耐性」評価の基盤は、実際の測定値と予測値・標準範囲の比較です。このパラメータは、肉体的または精神的な問題に対する心血管系の対応能力を示すものです。このパラメータが高いほど、心血管系の対応能力が高く、効率が良いと考えられます。

「心血管適応」 ― 5 分間の起立法によって収集した HRV パラメータをベースにして評価されます。このパラメータは、肉体的または精神的な問題によって生じた生理的変化に対する心血管系の適応能力を示すものです。「心血管適応」評価の基盤は、問題が起きたときに自律調節機能に生じる変化です。このパラメータが高いほど、体内の変化に対する心血管系の代償能力および適応能力が高いと考えられます。

「心血管耐性」も「心血管適応」も、自律神経機能の指標です。これらの数値が長期にわたって正常値を下回った状態は、単に自律神経機能が低下したことを示している場合もあれば、重篤な心血管障害の結果であることを示唆していることもあります。

フィットネス検査の生理学的根拠

フィットネス評価は、起立性ストレス (座位から立位に移行させる) に対する心血管反応を測定するものです。この反応には、末梢血管 (細動脈) の収縮と心拍の増大が含まれます。この 2 つの調節反応には、身体が座位から立位に移行したときに生じる酸素供給量の重大な減少から脳を保護する役割があります。きりつ名人 では、検査時に心拍数や有酸素期間の周波数スペクトルの変化を測定します。この2 要因は、起立性ストレスに対する心臓および血管の対応能力の基礎になる個人のフィットネスレベルによって異なります。

治療の前後に きりつ名人で患者の ANS 状態を評価すれば、治療効果に関する正確で信頼できる評価結果を得ることができます。たとえば、心臓病学では治療戦略を最適化する上でβ遮断薬の効果を評価することは重要であり、臨床薬理学では様々な薬剤が自律機能に及ぼす影響を評価することは不可欠となっています。自律神経機能評価は、高/低血圧、心筋硬化症、様々な種類の心筋症、心筋麻痺、心臓移植といった心血管障害のある患者の健康状態を分析する際に役立ちます。起立検査から収集されたデータを利用して従来の手法を補完し、心血管系を詳細かつ総合的に評価することも可能です。

得られる主要な結果

起立検査の結果は、時間領域解析と周波数領域解析がベースとなっています。これらは、自律神経機能分析においてもっとも重要な要素です。個人のすべてのフィットネス状態が、フィットネスレベルを表すスケール上に、以下に示す指標を表す数値と共に提示されます。

トレーニング (フィットネス) 指標
心臓係数
血管係数

フィットネス検査の結果とエルゴメーター検査による最大作業能の評価結果には、統計的に重要な関係が存在します。

きりつ名人による自律神経機能分析は、アスリートおよび平均的な成人、心血管疾患患者が関わった数年間にわたる応用科学研究の成果です。

フィットネス検査結果の説明

以下は、平均心拍数および周波数スペクトルから算出された係数です。関連する健康リスクは、広範囲に及ぶ実地調査および応用検査の結果に基づいて、予測できるようになっています。

心臓係数

この係数が好ましくない結果だった場合 (相対単位が 6 を下回った場合)、不適切な心臓トレーニングや心筋収縮が低下すると考えられる作業を行っている可能性があることを示します。

血管係数

この係数が好ましくない結果だった場合 (相対単位が 6 を下回った場合)、圧受容体の感受性が低下していることを示している可能性があります。その原因としては、血圧の上昇や初期段階のアテローム性動脈硬化症がなどが考えられます。

トレーニング (フィットネス) 指標

これは、起立性ストレスに対する患者の対応能力について一般的な評価を得るための指標です。6 (相対単位) を下回るフィットネス指標は、運動不足、肥満、病気回復期、体のコンディションに影響を及ぼすその他の疾病などの、好ましくない状態にあることを示しています。

フィットネス分析の結果とエルゴメーター検査による最大作業能の評価結果には、統計的に重要な相関関係があることが確認されています。VitalScan フィットネス検査のメリットは、検査を簡単、迅速、安全に実施でき、集団を対象とした予防検診に役立てることもできる点にあります。

好ましくないフィットネス分析結果の危険性

運動不足や肥満は、健康状態を悪化させます。これらは、心血管障害やその他の病理学的疾患と関連がある健康リスクの主要な要因です。

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