プロテインを取ると腎臓に悪いかどうか、質問されることがあります。過剰なプロテイン摂取は、腎臓に負担をかけると聞いたそうで、それならどれくらいならいいのか?ということになります。

2013年に、アメリカで栄養学やスポーツ医学の専門家が集まって、「安全で有益なプロテイン摂取」に関する国際会議が開かれました。

その頃、アメリカでは体重1kgあたり0.8g/日のプロテインを取るのを推奨していました。会議で出された結論は、この数字は1日に必要な最低量で、もっととっても良いとされましたが、明確に上限を示すものではありませんでした。

プロテイン摂取量の上限に関したエビデンスが示されたのは、2018年になってからのことでした。

2018年に発表されたVan Elswykらのシステマティックレビューによると、これまでに報告された推奨量0.8g/kg以上のプロテインを摂取することによる腎臓への影響を調査した26の観察研究などをもとに、プロテインの摂取量は1.6-2.0g/kgであれば、腎臓へのダメージが少ないことが示唆されたのです。

健康な肉体を維持するためには、最低でも0.8g/kgのプロテインが必要で、トレーニングや労働によっては、6ヶ月以内の期間なら2g/kgまでは安全にプロテインが取れるということになります。

では、それ以上のプロテイン摂取は腎臓に悪いのでしょうか。

いまのところ、その答えを示す科学的なエビデンスはありません。

動物実験では、過剰なプロテイン摂取で腎臓の濾過量が増え、それを長期間続けると腎機能が低下することがわかっています(Cirillo M, 2014)。

また、高タンパク食が腎臓病を悪化させ、低タンパク食が腎臓病の進行を遅らせることもわかっています。

もともと腎臓が健康ならどうかということについては、摂取するプロテインの質によっては過剰摂取で腎臓に悪影響が出る、というエビデンスが2011年にブリガム・ウィメンズ病院のLinらが示しました。

Linらの調査では、白身肉や乳製品、卵などは大丈夫でしたが、赤身肉や加工肉でプロテインを取りすぎた場合には腎臓に悪影響が見られたとのことです。

赤身肉がどうして腎臓に悪いのかについては、消化するときに発生する酸性物質が、腎臓に毒となるのではないかと考えられています。

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