脊柱起立筋

脊柱起立筋は、胸腰椎椎間関節を圧縮し、胸腰筋膜を介して仙腸関節まで圧縮することがある。脊柱起立筋の過活動による姿勢を「バックグリッピング」と呼んでいる。バックグリッピングは、胸郭が後傾し、骨盤は前傾、腰椎はその間で圧縮されている。片側だけか活動すると、胸腰部の多分節におよび長い側弯と骨盤内捻れを生じる。

HVLAリコイル手技

伏臥位で頬骨の下にロールかボールを入れる。脊柱起立筋の過緊張部の両端をセラピストの両手根部で把持し、指を組み合わせて筋肉を手掌のなかにスクープして短縮させる。患者は胸を柔らかくし胸郭の後ろに息を吸い込んで伸びるようにイメージする。緊張が緩和したら両手を素早く近づけ、速やかに手を離す。

MET手技

両腕を組んだ座位で、過緊張のある筋繊維の頭側端にコンタクトして、動きの制限がある方に向かって胸椎を側屈、回旋し、筋繊維を伸張する。バリヤーにきたら患者にゆっくり反対に向かって上半身を捻るように支持し、セラピストはその動きに抵抗して軽い等尺性収縮を生み出す。3から5秒間おこなう。数回繰り返す。

手技でリリースした後は、起立筋全体をストレッチする。自宅では、チャイルドポースストレッチを実施し、柔軟性を維持する。

外腹斜筋

外腹斜筋の過緊張は、呼吸と横隔膜の機能に加え、胸郭の回旋が求められるような課題に影響する。

膝立背臥位で、白線に向かって過緊張のある筋繊維が付着した肋骨を引き寄せるか、直接筋繊維の近接を行う。患者には圧迫している指がお腹の中に沈み込ませるようにして、胸郭を緩めて広げるイメージングをさせる。十分に弛緩が得られたら、肋骨と白線を引き離してストレッチする。更に対側の内転筋群を含めて完全伸張位に持っていく。

自宅では、リリースする側を上にした側臥位で、緊張した場所に息を送り込むようにイメージさせる。また、ストラップか壁を使って反対側の足を支え、内転筋をリラックスさせたまま、踵を伸ばしいてく。

内腹斜筋下部繊維

脚を枕に乗せた背臥位で、過緊張のある内腹斜筋線維を腸骨稜上部で触診し、腸骨稜に近づけて短縮位にする。患者は、お腹を和らげ腹壁に指が沈み込むようなイメージングをさせる。十分に弛緩したら、徒手的にストレッチを行う。

内腹斜筋上中部線維

カールアップ課題のように体を丸くする課題で、胸郭と肋骨下角が広がるようなら、内腹斜筋上中部線維が過緊張している可能性がある。下部肋骨を後方に回旋させ、吸気と下部胸椎の対側への回旋を制限する。

リリースする側を上にした側臥位で、過緊張した筋繊維を触診し、胸椎を回旋側屈させて短縮位を作り、患者はウエストを柔らかくして骨盤を後ろに転がし肋骨を緩めるイメージングをする。十分に弛緩したら、胸郭を反対側に回旋側屈してストレッチする。頑固な線維に対してドライニードリングが有効である。

自宅では、膝立背臥位になって過緊張した線維に触れ、緊張を緩めるイメージングをしながらゆっくり膝と骨盤を過緊張側に倒す。腹臥位で緊張した線維にボールを当ててイメージングをしても良い。

腹直筋

恥骨結合部機能不全や痛みと関連する。

背臥位で脚を枕で支え、過緊張した線維を触診し、頭尾側方向に線維を近接させ、患者はお腹を柔らかくし指が沈むようにイメージングする。十分に弛緩したら、徒手的に筋繊維をストレッチする。

自宅では、腹臥位で上半身を起こしたスフィンクスのポーズでイメージングを行う。

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