コード・キューは、左右対称な姿勢や課題で、言葉による誘導に対して正常な呼吸パターンを維持したまま最小限の努力で深層筋群を対照的に収縮する反応を引き出すことを目的とする。
腹横筋や多裂筋深層部の非対称な活性化
例えば、左腹横筋が右腹横筋や左多裂筋が収縮する前に活動するため、右多裂筋が活動しないといった状況で、障害に意識を向けられるよう言葉による誘導とイメージを用いる。
左腹横筋へのキュー
「正中線に向かって本を閉じるように左側の骨盤(ASIS)を近づけて下さい」
左多裂筋深層部を賦活して表層を弛緩させるキュー
「背中の力を抜いて、背骨をベッドの方に沈み込ませるように」意識して、「左のそけい部から骨盤を通して腰のこの骨まで綱を張るようにイメージしてください」「そのまま少しずつ綱を緊張させて、腰の骨を頭に向かってつり上げるようにしましょう」
場合によっては、最初は左右同時に収縮させてから、機能障害側だけ「もう少し」キューを与える。
骨盤底と腹横筋の共同収縮を促すキュー
「肛門と恥骨の内側をワイヤーでつないで、それを少しずつ緊張させていきましょう。緊張させたまま、両側の骨盤の間を本を閉じるように近づけるよう意識して下さい」
訓練しても元に戻ってしまう場合は、いかに患者自身が気付けるかが重要になる。そのために、適切な課題を「何も考えずに」実施した場合と、「緊張をリリースし、アライメントを整え、意識を接続して動く」場合との違いを感じさせる。自宅でも課題をするときの努力感を意識し、わずかな変化に注意することで、深層筋が機能しているかを自覚できるようになる。患者には、1回に10秒保持を10回3セット、1日ごとに行うよう徹底する。きちんとこなしたなら、10日以内に抗重力位で機能的課題が実行できるようになる。
骨盤帯 第11章より抜粋